バーもやっぱり日本は安い

9月ぐらいから外国人のお客さんが多くなっています。ただしコロナ前と傾向が変わりました。

インバウンドという言葉が広まる以前、2000年代は仕事で来日して日本人に連れられてという方がほとんどでした。アジア圏の経済発展はまだまだで一般人が日本に旅行に来るということはほとんどなく、欧米からは物価が安いわけでもなく遠いし言葉通じないし(スマホが普及する前)アジアに行くならバリ島やシンガポール、香港、バンコクに行くわ、となっていたでしょう。アジア以外ならトルコやエジプト行くでしょう。ヨーロッパから近いし安いし。同じ理由でアメリカ人ならカリブ海周辺や南米に行くでしょう。旅行で日本という選択は少なかったです。

2011年に1階に移転してからは、ちょうどインバウンドで外国人旅行者が増えてきた時期と重なり、通りすがりの来店が増えました。大半は欧米人でアジア人は稀でした。
それでも寿司や和食という日本特有の飲食店に比べて、わざわざバーに来る人は少なかったです。欧米人にとってはバーやパブは自国の文化なので、興味本位で日本のバーにも行ってみよう、ぐらいな感じです。日本人が海外で日本料理レストランに行ってみる、みたいな気持ちと同じでしょう。アジア人に関しては、バーで洋酒を嗜むという文化がまだ定着していない時で来店は少なかったです。まあそもそも日本人でも海外でバーに行く人なんて少ないですしね。

2010年代後半からは少し変化があり、ブームの影響でジャパニーズウイスキーを目的に来る人が増えました。やはり圧倒的に人気なのはサントリー山崎でした。韓国、スペイン、フランス、イタリア、オーストラリアあたりからが多く、なぜかイギリス人って来ないです。ハワイから来たという人に「山崎ある?」って言われたときは、ウイスキーとは縁が遠そうな暖かい島の人が山崎を注文するんだ、と驚きました。

それからコロナで3年間ブランクがあって、今年から外国人のお客さんが戻ってきました。ただしコロナ前とはタイプが変ったようです。

特に印象的だったお客さんを挙げると、オーストラリア人の女性二人。女性が二人というのは初めてです。東京から西へ西へと移動しているそうで、普通の旅行者でした。どこか美味しい店を教えてくれと言われたので隣の居酒屋を案内しておきました。注文とか大丈夫かな?と不安でしたが、そこは僕の職務外なのでお店に任せることにしました。

それと驚いたのはベトナム人の男性二人。日本語がそこそこ喋れたので日本在住か、日本と関わりのある仕事なのかもしれませんが、それでもいよいよベトナム人も海外のバーで飲むようになったかと驚きです。しかも4950円の会計に5000円札を出して「おつりは取っといて」と言われました。僕が過去3回ベトナムに行ったときは、よくおつりはチップであげていましたが、逆にベトナム人からチップを貰うようになるとは!ベトナムは好きな国なので、ベトナムの発展が嬉しいような、日本経済の停滞が悲しいような、なんとも複雑な気分でした。

そして全体的な傾向としてサントリー山崎が目的ではなく、普通にスコッチやカクテルを飲む人が増えました。これはやはり日本で飲むほうが安いというのも理由でしょう。

パリのパブのウイスキーの価格を調べてみると、当店で1杯1000円のボウモア12年が10ユーロ(約1600円)です。2012年に行ったときにはパリは酒とチーズは安いなぁと感じたのですが、当時1ユーロが100円でしたからね。今は60%UPです。

ニューヨークのパブでは当店で1杯1000円のグレンフィディック12年が16ドル(約2400円)です。そりゃ一蘭のラーメンが3000円でも行列ができるわけです。

8月にフィリピンに行った時はマカティのバーでもカクテルやクラフトビールは日本と同じ。ウイスキーに関しては日本より高かったです。パリより高いかも?安いのは地元ビールのサンミゲルだけでした。

そりゃ日本のバーに来たら安いわ!安いし珍しいウイスキーも多いし普通に来るようになったんでしょうね。なので以前は「高くないかな?」と心配しながら仕事していましたが、最近は躊躇なくお酒売ってます。ウイスキーもカクテルも5ユーロから飲めるって、屋台のコーラかよって感じでしょう。

スコットランドに行ったときには必ず飲みに行っていたエジンバラのカフェ・ロイヤルのメニューを見てみると、シングルモルトスコッチウイスキーは12年クラスが6ポンド(約1080円)ぐらいなので当店と同じような価格ですが、確か10年前は3~4ポンドぐらいだったので大衆の集うパブの物価も上がっています。
CAFE ROYAL
それでもこんな素敵な店で当店と同じ価格でウイスキーが飲めるんだからスコットランド人は来ないわけだわ。やはりスコットランドのパブは安い。ここは特に内装が凄いのでエジンバラに行ったらぜひ。夜は大盛況で楽しいし、昼は空いていてゆっくりできます。併設しているレストランもおすすめですよ。
昔のブログを読み返すと、2008年にキャンベルタウンのパブで飲んだキャンベルタウンロッホは1.1ポンド(当時のレートで約160円)でした。田舎だしご当地ということもあるにせよ激安です。今はいくらになってるんだろう?
良い時代にいっぱい海外旅行出来て良かった。

こうして調べてみると、日本に来て回転寿司が1皿100円200円なんて驚愕の安さなのでしょう。世界的に寿司が普及しているといっても、どこの国でもロール寿司しか食べたことない人がほとんどだし、獲ってすぐ血抜きなんてしないので生で食べられる魚はマグロかサーモンぐらいしか手に入りません。握り寿司が食べられるのは築地から空輸した高級店だけです。100円200円で聞いたこともない珍しい魚の握り寿司が色々食べられるなんて、10~20年以上前に僕がバリ島やベトナムで大はしゃぎしていた感覚でしょうか。牛丼屋やサイゼリアに至ってはもうアンビリバボーなはずです。

昔、日本人バックパッカーがアジアを長期放浪していたように、今の日本は貧乏バックパッカーにもお勧めできる価格の国になっています。アジア人バックパッカーが日本に来る日も近いかも。安全で清潔で飯も女も安いし最高じゃないか!むこう10年ぐらいは安い国として頑張らなきゃならんのですかね?真面目に英語の勉強しようかしら?