知命 50歳になりました

「 四十にして迷わず」不惑は有名な言葉です。そう言われても40代は迷いが多かったような気がします。孔子の論語に由来する男性の年齢を称する語句では50歳は知命というそうです。そういえば最近は人生を逆算して終活のことをよく考えます。まさに知命。

遠路はるばる大阪からTさんが誕生日プレゼントを抱えて岡山まで遊びに来てくれるということなので、一度お連れしたかった喰切料理「八方」さんへ行きました。まさかの今月2度目。そして今回は真骨頂の夜の料理です。

冬の旬のなまこのお浸しから始まり、脂の乗った冬の穴子、鰆、黒鮑、河豚などなど高級食材の数々。ただの高級食材ではなく日本の一流店が取り合う最高級の食材です。50歳にして本当に美味しい鮑を知りました。下津井の真鯛と赤貝の刺身のツマには防風という乾燥すると漢方の生薬にも使われるせり科の草が添えられていました。読んで字のごとく風邪を防ぐそうです。二人とも何も考えずに皿に残していると「よろしかったら召し上がられませんか?」とさりげなく教えていただきました。えぐ味もなく甘くておいしかったです。勉強になるなぁ。
河豚の肝と皮を固めたものにたっぷりのポン酢と九条葱。今思うとなんで最も毒の多い肝を食べられたんだ?不思議。今度聞いてみます。残ったポン酢にこんがり焼き目を付けた大きな白子を漬けて頂きました。
(訂正:流れで河豚と勘違いしていました。あん肝でした)

メインは牡丹鍋。臭みどころか甘くておいしい猪でした。何でも寝起きで寝ぼけている猪の脳天を打ち抜いて狩った特別なものなのだとか。鉄砲で撃ったり罠に掛けたりして絶命までに暴れると味が落ちるのだとか。今や魚の締め方では常識ですが、まさか肉もそうなのね。

〆のご飯は数種類から選べます。鰻好きなのでいつもなら迷わず鰻を選びますが、かなり満腹だし2週間前にも鰻頂いたし、せっかくの機会なのであえてカレーにしました。ミシュラン2つ星のお店の作るカレーを食べることなんてそうそうありません。
伊勢海老を使ったスパイシーなカレー。スパイシーなのにどことなく和を感じさせるうま味のある絶品カレーでした。「鰻も良いけどカレーもね」という気分の時におすすめです(40歳以上しか知らないかしら?)。

最高品質の様々な冬の旬に、春を先取りした筍と菜の花の一品もあり(青森で特別な育て方をしているそうです)、今回ももちろんすべての皿が絶品で、色々と学びが多く大満足の体験でした。50歳になって思うのは体験を共有することこそ人生で最も価値のあることだということです。物を買っても嬉しいのは1ヵ月ですが、思い出は一生です。

皆さんもぜひ体験を共有したいご家族、パートナー、友人と八方さんに行ってみてください。何でも質問すれば丁寧に興味深い食材や料理の話を教えてもらえますので、どんどん質問したほうがより美味しく楽しい食事になります。情報も大事な調味料です。

しかし庶民が月に2回も高級店に行くと味覚と情報が渋滞してなかなか強烈な体験でした。次回は春の旬を頂きにお伺い出来たら嬉しいな。僕には年4回、四季折々に旬を楽しみに行くのがベストかも。

そしてTさんのプレゼントは前々から一度飲んでみたかったケンゾーエステートのワイン。ストリートファイターやモンスターハンターでお馴染みのゲーム制作会社カプコンの創業者が経営しているワイナリーです。
おじさんからおじさんへメッセージカードも添えられていて、おじさんも嬉しくて胸がキュンとしました。僕の好きな葡萄品種のソーヴィニヨンブランのスパークリングが楽しみです。美味しい料理を用意して、さっそく嫁さんと飲んでみます。スパクーリングはすぐ飲めそうですが、赤は飲み頃があると思うのでワインに詳しいO女史に聞いてみます。

1月は色々な体験ができて実りのある一か月でした。知命にしてまだまだ学ぶことが多いです。毎年恒例、2月はお店は激暇なので来月は冬ごもりです。店でジッと暇して待っていますので飲みに来てください。